副院長ブログ(免疫システムを知る④サイトカイン)
免疫システムの働きの始めに、異物を取り込んだ食細胞は活性化して、消化能力や殺菌能力が増し、その活性化した食細胞がいろんな警報物質サイトカインを出します。と③で書きました。
サイトカイン、サイトcytoは細胞、カインkineは運動を意味していて、 細胞から分泌されたサイトカインが周囲の仲間の細胞を呼び寄せたり、体中の細胞に戦うぞ!と指令を出したり、と他の細胞を動かすきっかけとなります。
特定の臓器から血中に分泌されて特定の場所で働くホルモンとは違って、食細胞が走り回って異物を取り込んだ場所で分泌され、その場に他の細胞が寄ってきます。
サイトカインには色々な種類があり、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、腫瘍壊死因子などが知られています。
(食細胞以外にBリンパ球、Tリンパ球、肥満細胞という免疫細胞からのほかに、内皮細胞、線維芽細胞などの組織にじっとしている細胞からも分泌されることもあります。)
分泌されたサイトカインは、それを受け取る受容体という構造がある細胞に働きかけ、細胞間で情報を伝え合います。
(液性免疫と細胞性免疫の調節、ある種の細胞の成熟、成長、反応性の制御などが行われます。)
サイトカインのうち、ケモカインは、仲間の免疫細胞を呼び寄せる作用があり、ケモカインの濃度勾配にそって免疫細胞が移動すると考えられているそうです。
血管の中にはたくさんの食細胞が流れていてケモカインに呼び寄せられて現場に駆けつけます。
ケモカイン以外のサイトカインは主に周囲の食細胞の活性化を促します。
周囲の血管壁を緩める作用もあり、そこから免疫細胞がやってくることができます。
サイトカインによって病原体が侵入した現場にぞくぞくと食細胞が駆けつけて活性化して、「炎症」が起こります。
これが適度に適切な規模の炎症であることが大事。行きすぎると治まるのに時間がかかります。
(サイトカインが血液中に多くなり過ぎてしまうことをサイトカインストームといいます。)
最初にマクロファージがやってきてそこへ応援に駆けつける細胞が好中球です。(白血球の仲間、②で触れました)
好中球は強い殺菌作用をもち、マクロファージより強力ですが、短命で、病原体を倒した結果、膿となります。
適切に病原体を倒して、さっと炎症が治まるのが理想。
食細胞が食べた相手が病原体なのか、処理すべき細胞の死骸や老廃物であるのかをどうやって認識するのかは次回。
ウイルスをやっつける段階まではまだまだかかります〜。