副院長ブログ(糖尿病合併症①眼科の「単純網膜症」)
糖尿病の治療で通院中の方全員にではないですが日本糖尿病協会による糖尿病連携手帳をお渡しして結果を記入してお渡ししています。
受診日や体重、血圧、血糖値、HbA1c、その他の検査結果を書き入れる欄があります。
複数の医療機関に受診されるときに提示していただくと情報の共有ができます。
少し後ろのページに眼科と歯科の記入欄があります。
眼科では網膜症や黄斑浮腫の有無、変化があるか、治療の既往などを記載してもらいます。
先日、単純という項目に〇がついている患者さんがありました。
単純網膜症がありますねと話していると、何かご存知ないようでした。
糖尿病性網膜症という合併症には病状に段階があり、単純網膜症は初期の段階ですが、眼底に小さな出血があるという状況です。
眼底とは眼球の内側の目の手前からみて一番奥の部分で網膜という組織が張り巡らされている場所のことです。
球の内側で眼内レンズ以外の部分は網膜で覆われているのですが、黄斑部というレンズからの光が焦点として当たる部位が視力にとって最も大切な網膜の部分です。
そのあたりに病変が起きると見え方に支障がでます。
眼底の網膜には血管が網のように広がっていて、血管の壁が透けて見えます。
なので血管病変も透けて見えやすいです。
血管の壁が分厚くなったり変形していたりなどが見えます。
その血管が傷んで破れやすくなると小さな出血が起きることがあります。
小さく出血した状態で治まっているのが単純網膜症の段階です。
小さな出血は吸収されて消えていきますがまた起きやすい状態なので繰り返されることがあります。
症状は全くないと言ってよいぐらいの変化です。
血糖値が改善されると単純網膜症は消えて無くなることもあります。
ですので単純網膜症のうちに血糖をコントロールすることが大切です。
まずは眼科で網膜の状態をみてもらうことをお勧めします。
少なくとも年一回はチェックが必要です。