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副院長ブログ(GIP/GLP-1受容体作動薬登場の前にSGLT2阻害薬のこと、その①)

[2022.10.12]

糖尿病治療薬のうちのインクレチン関連薬について何回か触れてきました。

もうすぐそのインクレチン関連薬にまた新しい薬が加わるニュースを受け、ひとまずこれまで触れてなかったSGLT2阻害薬について勉強しておきます。

その昔、尿にたくさん糖が降りることで糖尿病という名前がついたという疾患ですが、軽めの糖尿病では尿に糖は出ません。

(なので糖尿病という病名を変えようという動きがあります。)

個人差はありますが、血糖値が180〜200mg/dl以上になると尿に糖が混じるようになります。

通常はなぜ尿に糖が降りないかについて先ず説明。

腎臓にはネフロンという組織がたくさんあり、そのひとつひとつに細かい血管がくるくると糸玉のように巻いた糸球体という部分があり、その血管から原尿という液体がこし取られ、それを包んでいる袋(ボウマン嚢)に集まって尿細管という細い管に流れていきます。

ひとつひとつのネフロンの尿細管は集合管という管に流れ込み、集合管は尿管へと繋がっていきます。

原尿には一旦血液から色々こし取られるのですが、尿細管で再吸収という作業を受けて(老廃物は尿に排泄されますが)まだからだに必要なものは尿細管をとりまく血管の中に戻されます。

糖も一旦原尿に入るのですが、尿細管でその殆どが再吸収されるため、尿には糖は混じらないのです。

血液に糖が多すぎる場合には再吸収しきれなくて、尿に糖があふれてしまうというわけです。

糖(ブドウ糖)が90%は近位尿細管S1セグメントに存在するナトリウム・グルコース共役輸送体2(SGLT2)によって再吸収されているといわれていて、SGLT2阻害薬はその働きをブロックすることによって尿に糖を排泄させるお薬です。

外来では、腎臓に働きかけて尿に糖を降ろす薬、と説明しています。

日本では2014年に発売開始となり、今では数種類のお薬があります。

腸で糖が吸収されたり膵臓でインスリンを分泌する場面に関係なく働く薬です。

発売当初、脱水になるのではと循環器系に既往歴のある患者さんには使ってはいけないといわれていたのですが、余分な糖分とともに水分やナトリウムの排泄も促すということで、糖尿病の患者さんに使われるよりも循環器の患者さんにより多く使われ始めて、処方数が増えたという経緯があります。

(その②に続きます)

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