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副院長ブログ(GIP/GLP-1受容体作動薬登場の前にSGLT2阻害薬のこと、その②)

[2022.12.07]

SGLT2阻害薬について10月12日にこのブログで書いてからあっという間に2ヶ月。

腎臓に働きかけて尿に糖を降ろす薬と説明していると申しましたが、腎臓にとっては負担が少ないと考えられています。

血糖を下げる薬ではありますが、膵臓からインスリンを分泌させる場面や筋肉などの組織でインスリンが働くところには関わらないので、インスリン分泌を過剰に刺激することがなく、インスリン抵抗性があるひとでも効果が期待できます。

そして少しずつ過剰な糖を尿から排泄させることで糖が血中から失われるため肝臓に溜まった脂肪がエネルギーとして補われて脂肪肝が軽くなる場合も経験しています。

脂肪を減らすという点ではこのお薬を飲まれている患者さんの体組成をInBodyなどで測定すると体全体での脂肪の割合が減り、筋肉量は維持されて、体重が減っても基礎代謝が落ちていないことがわかります。

この薬剤の効果を上げるためには水分を一日まんべんなく摂取する、普段より500ccは多めに摂るということをお勧めしています。

水分に溶け込んだ糖が尿へと出ていくので、溶け込めるための水分が必要です。

なかなか体外に放出することが難しいナトリウムもある程度排泄されるので浮腫みも減りやすくなります。

その効果を期待して心不全治療に用いられたり、腎臓の負担が少ないため慢性腎臓病初期から中期の患者さんにも(糖尿病がなくても)使われるようになっています。

多くの患者さんが服用することによって少しずついろいろなことが判って来つつあります。

一日一回の服用でおおよそ一日、薬によっては半日程度の効果が持続するので飲みやすいお薬であると思われます。

ひとつ難点があるとすれば薬価が高めなことです。

発売されて数年が経過して少しずつ薬価が下がってくる時期には入ってくるかと思います。

(比較的新しい薬剤なので現時点でジェネリック医薬品はありません。)

単剤だけでなくインクレチン関連薬でご紹介したDPP4阻害剤とこのSGLT2阻害薬が組み合わされた配合剤も発売されています。

選択肢が本当にたくさんありますので患者さんの状況に合わせて薬を選んでいくことができるようになってきました。

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