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副院長ブログ(免疫システムを知る⑦獲得免疫-b.活性化ヘルパーT細胞がマクロファージを活性化)

[2021.02.24]

抗原特異的な「獲得免疫」という仕組みの続きです。

①活性化した樹状細胞はリンパ節で手当たり次第にナイーブヘルパーT細胞とくっつき合って樹状細胞に提示されているMHCクラスⅡ+抗原ペプチドにぴったりくっつくT細胞抗原認識受容体を持つナイーブヘルパーT細胞が見つかってくっつきます。

②くっつくだけでなく樹状細胞のCD80/86という補助刺激分子とナイーブT細胞のCD28という補助刺激分子もしっかりくっつきます。

③くっついたT細胞は活性化した樹状細胞が放出するサイトカインを浴びます。

ナイーブヘルパーT細胞が「抗原特異的に」活性化されるには①②③が揃うことが必要です。

3つの条件が揃うことで病原体に対する獲得免疫の活性化が始まります。

自己細胞由来のペプチド(自分の細胞が分解されたかけら)が樹状細胞に提示されても②③は起こらないので、病原体に対する反応であるのかどうかのダブルチェックが効いています。

活性化したヘルパーT細胞は増殖してからだの末梢組織に向かい、病原体を食べて活性化しているマクロファージに出会い、抗原特異的に活性化しているか抗原非特異的に活性化しているマクロファージをサイトカインでさらに活性化します。そしてマクロファージは病原体をどんどん食べます。

このときも①T細胞抗原認識受容体がマクロファージのMHCクラスⅡ+抗原ペプチドにぴったりくっつき、②マクロファージからサイトカインと補助刺激分子としてのCD80/86が出ていて活性化ヘルパーT 細胞のCD28に結合して刺激を入れ、活性化ヘルパーT細胞のCD40LがマクロファージのCD40に結合して刺激が入り(補助刺激分子の結合③さらにヘルパーT細胞からサイトカインが放出される、必要があります。

自己細胞由来のペプチドを提示したマクロファージは活性化されない仕組みが働いています。

食細胞が敵チームのユニフォームを認識して、T細胞が敵の個別の顔認識をして、ユニフォームも顔も敵である場合に限って獲得免疫が働くということになります。

活性化ヘルパーT細胞は末梢組織のマクロファージの活性化の他にも病原体を攻撃する免疫システムのスイッチを入れる手助けをしています。

次はB細胞〜Bリンパ球の登場です。(つづく)

参考書:新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで 著者:審良静男/黒崎知博

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