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副院長ブログ(インクレチン関連薬②インクレチンとは)

[2020.10.28]

大きな学会の立ち見のスライドで、小腸から分泌されるインクレチンというホルモンの説明を伺ったのがもう、ひと昔前のことになりました。

2009年末にシタグリプチン(ジャヌビア/グラクティブ)という内服薬が発売され、それから同じ仲間の薬がどんどん出てきて、日本で処方される糖尿病治療薬の内服薬でインクレチン関連薬が今では処方数のトップを占める薬となっています。

インクレチンとは消化管から分泌されるホルモンの一種で、食べ物を食べて消化管が消化吸収を行うときに消化管が分泌して膵臓からインスリンが早く出てくるように促すホルモンの総称で1930年代にincretin(intestine secretion insulin)と名付けられたのだそうです。

小腸のK細胞から分泌されるGIP(gastric inhibitory polypeptide)と小腸のL細胞から分泌されるGLP-1(glucagon-like peputide 1)が知られています。

GIPは胃酸分泌を抑制するホルモンとして1971年に見つかったあとインスリン分泌を促すホルモンであることがわかり、GLP-1は1987年にインクレチンであることが判明しています。

食べ物が消化管に入ってきたときに小腸からGIPとGLP-1が血液中に分泌され膵臓のインスリンを作るβ細胞のそれぞれの受容体に結合してインスリン分泌が促されるという仕組みです。

糖尿病の患者さんに点滴で血液中に糖分を補ったときに血糖値がびゅーんと上がりやすいですが、消化管に糖分を補給する方が血糖値がやや上がりにくい理由の一つとなっています。

食べ物を食べて胃腸が動いてインクレチンが分泌され膵臓に届いてインスリンを血中に分泌して血液中に吸収された糖分を細胞に送り込む。という仕組みです。

からだってすごい。

そのインクレチンは自然な状態ではささっと消えてその働きはとても短時間であることも知られていました。

インクレチン関連薬の内服薬はインクレチンそのものではなくて、そのインクレチンがささっと消えてしまわないようにするお薬です。

一日一回から2回、種類によっては週に一回内服するだけでその効力が消化管に食べ物がやって来たときに発揮され、食事の度に飲まなくてもよい飲み方の便利さが患者さんにも処方する医師にもウケたということで処方数が多くなっていると考えられます。

その内服薬の効果や副作用については次回。

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