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副院長ブログ(免疫システムを知る⑧獲得免疫-c.B細胞による抗原認識その1)

[2021.03.25]

抗原特異的な「獲得免疫」という仕組みの続きの続きです。

活性化した樹状細胞が抗原提示をしてそれに特異的に結合するナイーブヘルパーT細胞を活性化する仕組みについて前回勉強しました。

それに並行してリンパ節ではB細胞(Bリンパ球)が働いています。

B細胞はヒトの骨髄Bone Marrowで作られ成熟してリンパ節に集まっています。

リンパ節には侵入した細菌やウイルスそのものかその死骸がリンパの流れで流れつきます。

そこにいるまだ抗原に出会っていないナイーブB細胞は表面のB細胞抗原認識受容体にピッタリくっついた抗原を受容体ごと引きずり込んで食べます。

B細胞抗原認識受容体はほとんどのナイーブB細胞で異なる形状で、1000億以上もある一方で、同じ形状のB細胞抗原認識受容体をもつナイーブB細胞は少なく全身で100個程度ともいわれています。

そしてひとつのナイーブB細胞表面には1種類のB細胞抗原認識受容体しか発現していません。

どのような抗原が流れついてもピタッとくっつくものがある可能性が高く、自己の細胞の死骸が流れ着いた場合くっつくものはほとんどないという仕組みになっています。

T細胞との違いはB細胞抗原認識受容体は抗原そのものにくっつくことです。

B細胞抗原認識受容体にくっついた抗原がタンパク質を含む場合、抗原を構成するタンパク質を酵素の力でペプチドに分解し、MHCクラスⅡ分子に乗せて細胞表面に提示します。

自己細胞由来の抗原は食べないので、ある細菌を食べた場合、その細菌由来のペプチドがMHCクラスⅡ分子に乗ったものだけが提示されます。

B細胞はリンパ節にいる活性化ヘルパーT細胞に向けて抗原提示をします。

抗原を食べたB細胞はB細胞抗原認識受容体から刺激が入って少しだけ活性化していますが完全に活性化するためには活性化ヘルパーT細胞に出会う必要があります。

活性化ヘルパーT細胞は病原体を攻撃する免疫システムのスイッチを入れる手助けをしています、と前回に書きましたがそれをB細胞が待っているという状況です。

B細胞抗原認識受容体はY字形でありそれは抗体が細胞表面に発現したもので、抗原を認識する受容体として働いているままでは抗原を攻撃する武器にはなっていません。

その抗体にピッタリくっつく抗原を認識したB細胞は活性化して増殖して自分の分身を増やして抗体をたくさん作って放出する細胞に生まれ変わるために活性化TヘルパーT細胞の助けを待っているのです。(つづく)

参考書:新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで 著者:審良静男/黒崎知博

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