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副院長ブログ(免疫システムを知る⑨獲得免疫-d.B細胞による抗原認識その2)

[2021.04.27]

抗原特異的な「獲得免疫」という仕組みで、リンパ節に病原体やその死骸(抗原)がリンパの流れで流れつき、ナイーブB細胞は表面のB細胞抗原認識受容体にピッタリくっついた抗原を受容体ごと食べます。B細胞抗原認識受容体にくっついた抗原がタンパク質を含む場合、抗原を構成するタンパク質を酵素の力でペプチドに分解し、MHCクラスⅡ分子に乗せて細胞表面に提示してリンパ節にいる活性化ヘルパーT細胞に向けて知らせます。抗体が細胞表面に発現したY字形のB細胞抗原認識受容体の抗体にピッタリくっつく抗原を認識したB細胞は活性化して増殖して自分の分身を増やして抗体をたくさん作って放出する細胞に生まれ変わるために活性化ヘルパーT細胞の助けを待っている、の続きです。

Aという細菌がナイーブB細胞にくっついたとき食細胞も同じ細菌を食べていてリンパ節でナイーブヘルパーT細胞に抗原提示を行い活性化ヘルパーT細胞となりそれが増殖して仲間を増やしリンパ節に残ったり末梢組織にでて最前線の食細胞をさらに活性化します。B細胞はAという細菌を食べてAという細菌由来のペプチドA1、A2、A3,、、、がMHCクラスⅡ分枝にのった《A1》《A2》《A3》、、、という「MHCクラスⅡ+抗原ペプチド」を提示していてそれにピタッとくっつく(抗原特異的な)T細胞抗原認識受容体をもつ活性化ヘルパーT細胞が結合します。このときB細胞からはCD80/86という補助刺激分子が出ていて、これが活性化ヘルパーT細胞のCD28に結合して刺激を入れると、活性化ヘルパーT細胞のCD40LがB細胞のCD40に結合して刺激を入れます。活性化ヘルパーT細胞から放出されたサイトカインをB細胞は浴びて完全に活性化します。

活性化したB細胞は増殖して数を増やしプラズマ細胞という抗体産生細胞になります。(そのほか、一部は記憶B細胞になります。)

そのプラズマ細胞になるためには親和性成熟とクラススイッチという段階を経る必要があります。(つづきはB細胞による抗体産生へと移ります。)

ちなみに、自分の細胞にものにくっつくB細胞抗原受容体認識受容体をもつB細胞がいた場合、照合に応じる活性化ヘルパーT細胞は存在しないのでそのB細胞は活性化することはありません。自分に対する抗体はできない仕組みです。

それから、まだ気になっていて触れていないことは

・抗原が蛋白質を含まない場合

・MHCクラスⅠとは

です。

参考書:新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで 著者:審良静男/黒崎知博

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