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副院長ブログ(免疫システムを知る⑪獲得免疫-f.低親和性プラズマ細胞)

[2021.06.30]

抗原特異的な「獲得免疫」では「MHCクラスⅡ+抗原ペプチド」を提示したB細胞に活性化ヘルパーT細胞が結合→B細胞からのCD80/86補助刺激分子が活性化ヘルパーT細胞のCD28に結合→活性化ヘルパーT細胞のCD40LがB細胞のCD40に結合→活性化ヘルパーT細胞から放出されたサイトカインをB細胞は浴びて完全に活性化→いろいろな抗原はFDC(Follicular Dendritic Cell 濾胞樹状細胞)という細胞に陳列されており活性化B細胞は突然変異をしながら増殖してFDCで抗原にぴったりつくかどうか判定を受ける→抗原に合うB細胞抗原認識受容体をもつ活性化B細胞だけがプラズマ細胞に親和性成熟します。抗体の形は最初はIgMで、大量に産生されるときにIgGに変わることがクラススイッチです。

活性化B細胞が「親和性成熟」してプラズマ細胞となり「クラススイッチ」を経てプラズマ細胞がIgG抗体を産生しますがその抗体がどうやって働くのか。

その前に、親和性成熟もクラススイッチもおきていない低親和性プラズマ細胞があるということが参考書には述べられています。

まずどちらもおきていないIgM型のプラズマ細胞ができます。そのあとに親和性成熟はおこらずにクラススイッチがおきたIgG型のプラズマ細胞ができます。何らかの感染症にかかったときに採血検査で最初にIgMが検出され、そのあとにIgGが増えていくという現象がそれを物語っています。。

どちらのプラズマ細胞も親和性成熟がおこっていないので抗体への結合力が弱い、低親和性です。

最初から強い抗体ができたら、もし相手を間違えたときに大変なので、最初にソフトなIgM抗体でできるかぎりのことをして、段階的に強力なIgG抗体を作っていくのかもしれないということです。

それから、抗原が蛋白質を含まない場合、B細胞は「MHCクラスⅡ+抗原ペプチド」を活性化ヘルパーT細胞に提示できませんが、例えば、蛋白を含まない抗原とは、細菌の細胞壁などですが、こういうものは繰り返し構造をもち、細胞抗原認識受容体が認識する部位(抗原決定基)が反復して存在していることが多くナイーブB細胞の表面の多くのB細胞抗原認識受容体に同時にくっつくので、一度に多くの刺激が入ってナイーブB細胞の活性化がなんとか起きることとなります。このとき、クラススイッチは起こらず、抗体はIgMクラスしかだせません。親和性成熟も起きません。けれども活性化ヘルパーT細胞との相互作用をすっ飛ばせるので抗体放出までの時間が短く、それなりに有用とのことです。このIgMを産生する細胞もプラズマ細胞といいます。IgM抗体はY字型の抗体が5つ輪になった形で、強力ではないけれども、同時に何カ所にもくっつけるので抗原決定基が反復している抗原には適しています。このことは蛋白質を含む抗原でも繰り返し構造をもつものには当てはまる現象だそうです。

さて、この続きは抗体の主力であるIgGの働きですが、①中和と②オプソニン化、です。

あと、触れていないことは

・MHCクラスⅠとは

です。

参考書:新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで 著者:審良静男/黒崎知博

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