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副院長ブログ(免疫システムを知る⑫獲得免疫-g.B細胞が産生する抗体の働き)

[2021.07.31]

活性化B細胞が「親和性成熟」してプラズマ細胞となり「クラススイッチ」を経てプラズマ細胞がIgG抗体を産生しますがその抗体がどうやって働くのか。

IgMとIgGでは抗原に対して効果的なのは圧倒的にIgGが強力ですが、初めにIgMを表面に出す方が骨髄でB細胞がうまく成長でき、抗体として産生されるときにIgGに変わるほうがよいらしいです。ソフトなIgMでできる限りのことをしてそのあとに抗体の強度が上がるという仕組みにもなります。

抗体の主力であるIgGの働きですが、①中和と②オプソニン化、です。

①毒素の中和:細菌がからだに侵入して増殖するときに壊れるものもあり、そのときに内容物が漏れ出し毒素として働く場合があります。抗体が毒素に結合すると毒素の形や性質が変わり、受容体に結合や細胞への取り込みが阻止され毒性がなくなります(破傷風菌やヘビ毒など)。抗体が毒素に結合したものは食細胞が食べて処理します。

ウイルスの中和:ウイルスはヒトなどの細胞にもぐりこんで仲間を増やしますが、先ず細胞表面に吸着して足場をつくります。抗体がウイルスに結合するとウイルスは細胞に吸着できなくなりもぐりこむこともできなくなります。抗体がウイルスに結合したものは食細胞が食べて処理します。

②オプソニン化:IgGのY字形の根本のFc領域に食細胞が持っているFc受容体が結合すると、抗体を介して食細胞と抗原が結合するので食細胞は激しく抗原を食べます。抗原にたくさんの抗体が結合すると食細胞はたくさんの箇所で抗原と結合でき食欲が増します。

病原体が進入すると食細胞が対応し食細胞は病原体を認識して活性化→食細胞だけで対応できないとき仲間の樹状細胞が抗原提示のためリンパ節に向かい、抗原特異的にナイーブヘルパーT細胞を活性化、ナイーブB細胞がB細胞抗原認識受容体にくっついた抗原を食べて活性化ヘルパーT細胞に抗原提示(MHCクラスⅡ+抗原ペプチド)→活性化ヘルパーT細胞は抗原特異的にB細胞を活性化→活性化B細胞はプラズマB細胞となって抗体を作り放出→抗体による①中和作用で病原体が排除されますが、

活性化ヘルパーT細胞は食細胞をも活性化して、既に活性化していた食細胞がさらに活性化され強力な消化能力と殺菌能力を持ち②オプソニン化が行われます。

自然免疫と獲得免疫が互いに助け合って病原体を排除して、最後には自然免疫が締めくくるという流れになります。

あと、触れていないことは

・MHCクラスⅠ

でこれは細胞にもぐりこんでしまったウイルスや細胞に寄生する細菌を排除するための手がかりとなります。

参考書:新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで 著者:審良静男/黒崎知博

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