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副院長ブログ(免疫システムを知る⑭獲得免疫-i.キラーT細胞:中編)

[2021.09.30]

樹状細胞が食べたものをMHCクラスⅠ分子の上にも乗せて抗原提示をしているとき、CD8を持つナイーブキラーT細胞はMHCクラスⅠ+ペプチドと結合して、活性化したキラーT細胞となります。の続きです。

キラーT細胞は感染細胞を破壊するために働きます。

T細胞抗原認識受容体の形状は1000億種類以上あり、どのような抗原を樹状細胞が食べたとしてもピタッとくっつくT細胞抗原認識受容体を持つナイーブキラーT細胞がいる可能性は高いです。

樹状細胞が自己細胞の死骸を食べてそれに由来する抗原をMHCクラスⅠ+自己ペプチドを提示してもそれにくっつくT細胞抗原認識受容体をもつナイーブキラーT細胞がいる可能性は大変低いと考えられます。

ナイーブキラーT細胞が抗原認識してくっついている樹状細胞にはMHCクラスⅡ+ペプチドにくっついた活性化ヘルパーT細胞がそばにいる可能性があり、そのヘルパーT細胞からのサイトカインをキラーT細胞が浴びて活性化する場合があります。

また、ウイルスや細胞内寄生細菌が樹状細胞そのものに感染した場合は感染の刺激により樹状細胞が大量のサイトカインをだすので、ナイーブキラーT細胞はそれにより活性化する場合もあります。

(病原性のない細菌に対して抗原提示されている場合にくっつくナイーブキラーT細胞もあり、それは細菌の増殖拡大を抑えていると考えられています。)

(ナイーブキラーT細胞に抗原提示しやすい樹状細胞もあるということがわかってきて、ウイルス感染によりアポトーシス(細胞の自殺)を起こした死細胞を取り込む活性が高く、取り込んだ抗原をMHCクラスⅠ分子の上に載せるクロスプレゼンテーション能力が高いとされています。)

そうして活性化したキラーT細胞は増殖して数を増やします。

感染をおこしている組織に向かっていく活性化キラーT細胞は、感染した細胞が出している警報物質に誘導されて感染部位にたどり着きます。

食細胞はTLR(トル受容体)などのパターン認識受容体をもち、細菌やウイルスを認識していて、そのパターン認識受容体は多少の分布の多い少ないはあるものの全身の細胞に存在しています。

免疫細胞以外の細胞にはウイルスや細胞内寄生細菌の感染を認識するタイプのパターン認識受容体が多いそうです。

パターン認識受容体がウイルスや細胞内寄生細菌を認識すると、細胞からはサイトカインが放出されます。

サイトカインのうち、インターフェロンによって全身の細胞はウイルスに対して臨戦態勢となります。

そしてサイトカインのうち、ケモカインによって活性化キラーT細胞は感染部位に誘導されます。

たどり着いたところでの活動については次回の後編に続きます。

参考書:新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで 著者:審良静男/黒崎知博

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