副院長ブログ(間歇スキャン式持続血糖測定器)
当院のような小さな医院でもお取り扱いが可能な、フリースタイルリブレという器械があります。
二の腕などにリブレセンサーを貼って、リーダーという器械をそのセンサーにかざすと血糖値に近い値を測ることが出来ます。
リブレセンサーは500円玉ぐらいの丸い形状で円の中央にナイロンのような細い管が出ていて、それが皮下に入っている状態で装着します。
痛みを感じる方はほとんどなく、稀にリブレセンサーの中央の外側の穴から少量の出血がある場合がありますが、まもなく血は止まり、測定は可能です。
センサーが肌に当たる部分とその周りには接着剤が付いていて、入浴したりプールで泳いだりしても着けておくことができます。
(ただし、ぶつかったり引っかけたりすると直ぐ外れてしまいやすいです。)
(それから、CTやMRI、PETなどの検査を受けるときは外さないといけないので勿体ないことになります。)
センサーを貼ったらリーダーをかざして60分経過すると血糖値を測定できるようになり、その時から14日間測定ができます。
リーダーをかざすのが8時間あいてしまうと、かざしたときから8時間前の値は消えてしまうので、時間を長くあけずに測る必要があります。
予めセンサーに至適血糖値の上限・下限を入力しておき、それより高いか低いかすると表示がでるようになっています。
血糖値が急激に上がるときは上向き、だんだん上る時は斜め上、安定しているときは水平、徐々に下がっていくときは斜め下、急激に下がるときは真下向きの矢印が数値の横に表示されます。
センサーは皮下の間質液の糖を測定しているため、血液の糖の値よりやや低めの数値がでることが多いです。
どうやってそのような数値がでるのかは器械を作っている会社の秘密だそうです。
リーダーをかざすだけで何回でも血糖の上がり下がりの目安を知ることができます。
最近、リーダーという器械でなくiPhoneをかざしても測れるようになったのですが、
それがさらにiPhoneだけでなくAndroid端末でも測れる機種が増えたのだそうです。
スマートフォン端末で患者さんが測定した場合には(患者さんとの申し合わせが必要ですが)、医療機関や遠く離れたご家族などがその値をアプリやソフトを使って見ることができるようになっています。
指先を穿刺針でついて少量の血液を出して試験紙で測るのは、日に何回もできません。
測定するのが食前であればいつも血糖が低めのときだけ測っていることになります。
食前血糖が低いのにHbA1cが8%やもっと高い場合、食後の血糖が上がっていることが予想されます。
リブレで測っていると、それがよくわかります。
わかりすぎて嫌だとおっしゃったり、血糖値を気にしすぎてしんどくなる患者さんもあるので、
こちらから使用をお勧めする場合とそうでない場合があります。
どなたでもお遣い頂けるかというと、保険診療上は限られていて、インスリンの自己注射を日々なさっているかたは血糖自己血糖測定器加算(間歇スキャン式持続血糖測定器)という保険点数が設定されているためお勧めして使って頂いている患者さんもある、という状況です。
ですが、通信販売などで自費購入は可能な現状で、もしかしたら、血糖について気になるかたは既にご自分用に(高価ですけど)購入されている方もあるかもしれません。
血糖値が表示されるリーダーはあくまで個人使用が原則ですが、スマートホンで測定できるようになると、リーダーが不要になるので、センサーさえあれば一般の方々が測定できるチャンスが増えたと考えられます。
HbA1cが健康診断の診断基準で5.6%以上のひとは、甘いものを食べたり糖質を摂取したあと、案外血糖が上がっていることをリブレで確認できる場合もあると思います。
たとえば甘いおまんじゅうやチョコレートを食べてしばらくすると、あれよあれよと血糖が上がりだし一瞬200mg/dlを越えようかという勢いでビックリすることもあるでしょう。
インスリンの分泌がやや遅れる体質であったり、脂肪肝があったりすると、食後高血糖が短時間でも起きやすいので、それを知るよい手段であるとは思います。
ただし、正しい知識のもとにご使用にならないと、あまり使用する意味がなかったり、精神的ストレスを招いたりすることも考えられるので、注意が必要です。
血糖値自体も個人情報ですから安易にデータを公開することもお勧めできません。
何でも(もしこれをしたらどういう影響があるのか、など)想像力を働かせる必要があります。