副院長ブログ(HbA1c8%以上ってどういう状況なのかについて)
「HbA1cがちょっと高い理由」というタイトルのブログをたくさんの方にご覧頂いているようで、ありがとうございます。
ちょっと、じゃなくてかなり高い、というとHbA1c8%以上ぐらいになります。
なんで8%以上がよくないのか、と外来診療中に尋ねられることがあるのですが、およそこれぐらいはご説明できたらいいなと思う内容を書きます。
糖尿病の合併症を起こさないためには7%未満に、という治療目標があります。
だいたい、6%ぐらいのひとは何か食べたあとにちょこっと血糖値が200mg/dl近くになったり、甘いお菓子など食べたらたまに越えることがあるけど、さっと100mg/dl台に戻ります。
7%台のひとはちょくちょく血糖値が200mg/dl台になっていることがあり、時に300mg/dl近くになったり越えてることがあります。
8%台のひとはお腹が減っていても血糖値が200mg/dl台で食後は300mg/dlを越えることがちょくちょくあります。という具合です。
血糖値が300mg/dlを食前であろうが食後であろうが越えないようにするというのが治療のひとつの目標ラインであったりもします。
長時間血糖値が高くなっていると血管の中に炎症が起きやすくなります。
血液の中から細胞に取り込まれないで、どこでも使われることのなかった(可哀想な)ブドウ糖が変化して最終糖化産物となって血管内に降り積もるのが良くなく、血糖を下げようとインスリンがだらだら分泌され続けて血管内を多めに流通していることも血管の内壁に影響すると考えられています。
血管に炎症がおきやすいと手術などを受けたときに創が治り難くなる可能性があります。
例えば、白内障などで緊急ではなく予定を立てて行う手術を受ける際にHbA1c8%以上の場合は「もう少し血糖値をコントロールしてから」と眼科の先生に一旦保留とされることがあります。
血管を傷めないことが体の炎症を抑えることに繋がります。なのでちょっとでも7%台に近づくように患者さんと相談しながら治療を進めます。
というようなことをもう少し簡単に外来ではご説明しています。