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副院長ブログ(免疫システムを知る㉓免疫記憶その3 記憶B細胞)

[2022.06.30]

獲得免疫が誘導された際に作られ、再び同じ病原体の侵入を受けたときに一次応答と比べてきわめて迅速かつパワフルな二次応答を引き起こす、免疫記憶の主役、記憶細胞(メモリー細胞)についての学習しています。

記憶細胞は「一度、抗原を経験して、そのあと抗原が存在しない状況下でも生き延びている細胞」と定義されます。

その定義で、記憶B細胞、記憶キラーT細胞、記憶ヘルパーT細胞が存在すると考えられています。

今回は記憶B細胞について。

抗原を認識したナイーブB細胞は抗原特異的な活性化ヘルパーT細胞の協力で活性化、リンパ節で増殖しながらIgMからIgGへクラススイッチ、親和性成熟を起こす過程で、低親和性のIgMプラズマ細胞、低親和性IgGプラズマ細胞、高親和性IgGプラズマ細胞に分化しますがこのとき同時に記憶B細胞ができます。

記憶B細胞は、

クラススイッチと親和性成熟をへた高親和性IgG型記憶B細胞(記憶B細胞の主力で、抗原が再侵入したとき強く結合できる抗体を産生すつプラズマ細胞に分化)、

クラススイッチあり親和性成熟なしの低親和性IgG型記憶B細胞(抗原の変異に対応する)、

クラススイッチも親和性成熟もなしの低親和性IgM型記憶B細胞(プラズマ細胞に分化せず、IgG型記憶B細胞の供給源となる)

の三種類があるらしいです。

高親和性IgG型記憶B細胞が抗原が侵入してから4日程度で大量の抗体を出せる理由は、1回目の刺激で記憶細胞は数が増えていて分化も進んでいるため抗体産生が速く量も多いから、そして、

記憶B細胞はそばにいる記憶ヘルパーT細胞によって(ナイーブB細胞に比べてはるかに)速くプラズマ細胞に分化して力を発揮できる段階に進むことができるため、と考えられています。

そして、クラススイッチと親和性成熟を経た高親和性IgG型プラズマ細胞のうち骨髄に移動したものは寿命が長く、長寿命プラズマ細胞と呼ばれています。

長寿命プラズマ細胞はマウスで三週間から三ヶ月存在できて、いち早く抗体を産生し迅速な免疫応答ができます。

骨髄のスペースが限られているため新たな長寿命プラズマ細胞ができると古いものからどんどん追い出される仕組みになっているそうです。

親和性成熟を経て高親和性IgG型プラズマ細胞ができるときに濾胞樹状細胞ができて抗原のショウウインドウの役目をしていますが、これがB細胞の免疫記憶に重要であると考えられています。

あともう一回免疫記憶の学習を続けます。

参考書:新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで 著者:審良静男/黒崎知博

    スクエア最新図説生物 第一学習社

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