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副院長ブログ(メトホルミンとイメグリミン)

[2023.04.05]

今月、糖尿病治療のための新しい注射薬でGIP/GLP-1受容体作動薬がいよいよ登場するその前にもう二種類の薬の話を。

血糖値が上がるのは細胞に糖を取り込ませるインスリンが不足している場合とその働きが不足している場合が考えられます。

インスリンが足りないときは注射で補ったり、膵臓からのインスリン分泌を補助する内服薬があります。

ただし、インスリンが血管内に多く分泌され過ぎると肥満になりやすかったり血管内に負担をかける恐れがあります。

インスリンの量は適時に必要最小限がよいと考えられます。

インスリン作用不足はインスリン抵抗性といわれます。

肥満や肥満ではなくても内臓脂肪や肝脂肪、異所性脂肪など過剰な脂肪が溜まっているといろんな仕組みでインスリンが働きにくくなることが判ってきました。

そのため、太らない治療が重視されています。

体重が増加しない糖尿病治療薬が重要と考えられ、種類が増えつつあります。

SGLT2阻害剤も体重を増やさない処方で、以前に触れました。

メトホルミンはビグアナイド類の仲間で、肝臓から糖の放出を抑制したり組織での糖の取り込みを増やしたり、腸管からの糖吸収を減らして便から排泄させたり、などで血糖の増加を抑制して、糖尿病状態を改善します。

1950年代から使われはじめているSU(スルホニルウレア)剤とともに内服薬では比較的歴史のある薬です。

乳酸アシドーシスというこわい副作用があるため1970年代の終わりから1990年代半ばまで使用が控えられていましたが、薬価が安く、ビグアナイド類のなかでメトホルミンは比較的安全な薬であるため、体重増加を抑制したい患者さんには近年ファーストチョイスで用いられることが多い薬です。

錠数を多くすることで効果を増すことができます。

患者さんによって250mg〜2250mgと処方量に幅があります。

下痢や便秘などの消化器症状が起きることがあるので量を調節します。

メトホルミンによる胃腸症状が強かったり、超高齢の方やアルコールをたくさん飲む方、腎機能が低下している方には処方することが難しい薬です。

そして最近、イメグリミンという新しい薬が発売されました。

この薬は朝夕二錠ずつ飲むことが至適用量であり、やや大きめの剤形ですので、メトホルミンを飲むことができる患者さんだと置きかえたり追加したりしやすく、メトホルミンの量を増やせないとか、さらにもう少し血糖改善が必要な患者さんに合うのではと考えています。

細胞のミトコンドリアの働きを改善して膵β細胞からのインスリン分泌が促されたり肝臓や骨格筋での糖代謝を改善する働きがあるといわれていて、細胞の若返りが期待できる薬のようです。

適切なインスリン分泌量で糖の代謝が上がれば肥満は避けることができると考えられます。

イメグリミンはツイミーグという名前で発売されています。

内服を始めて3〜4ヶ月ぐらいすると効果が現れてくるようで気長に飲んで頂きたいお薬です。

内服するにあたり膵臓に炎症や腫瘍がないことを見極めてから始めるため、検査は受けていただく必要がありそうです。

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