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副院長ブログ(免疫システムを知る㉒免疫記憶その2)

[2022.05.31]

獲得免疫が誘導された際に作られ、再び同じ病原体の侵入を受けたときに一次応答と比べてきわめて迅速かつパワフルな二次応答を引き起こす、免疫記憶の主役、記憶細胞(メモリー細胞)についての学習の続きです。

記憶細胞は「一度、抗原を経験して、そのあと抗原が存在しない状況下でも生き延びている細胞」と定義されます。

その定義で、記憶B細胞、記憶キラーT細胞、記憶ヘルパーT細胞が存在すると考えられています。

今回は記憶ヘルパーT細胞について。

二回目の記憶B細胞と記憶キラーT細胞の反応で、記憶ヘルパーT細胞の助けは必要なのか。

以前は二回目の反応が迅速なのは記憶B細胞も記憶キラーT細胞も活性化ヘルパーT細胞の助けなしに活性化できるから速い野ではないかと考えられていた時期があったそうです。

しかし、研究が進んで、記憶B細胞、記憶キラーT細胞の活性化には基本的に活性化ヘルパーT細胞が必要であるらしいことが判ってきました。

ただし、それが通常の活性化ヘルパーT細胞でよいのか、記憶ヘルパーT細胞でなければならないのかは不明です。

では記憶ヘルパーT細胞がなぜ存在するのか。

それは免疫システム全体の迅速かつパワフルな活性化のため、だと考えられています。

ナイーブB細胞やナイーブキラーT細胞の活性化だけでなく末梢のマクロファージや好中球の活性化や集積にも活性化ヘルパーT細胞は働いていることから、記憶ヘルパーT細胞は免疫システム全体をすみやかにエフェクター期に誘導すると考えられています。

また、参考書の筆者である黒崎先生のチームは、記憶B細胞と記憶T細胞(記憶濾胞性ヘルパーT細胞)が近傍に存在して互いに素早く相互作用して記憶抗体産生応答が速やかに誘導されることをマウスの実験で明らかになさっています。

その詳細なメカニズムについては様々な先生方の御研究で近年次第に明らかになりつつあります。

記憶B細胞はそばにいる記憶ヘルパーT細胞によって(ナイーブB細胞に比べてはるかに)速くプラズマ細胞に分化して力を発揮できる段階に進むことができます。

次は記憶B細胞について学習します。(つづく)

参考書:新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで 著者:審良静男/黒崎知博

    スクエア最新図説生物 第一学習社

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